66年東宝成瀬巳喜男監督『ひき逃げ(467)』
パチンコ屋で、這いつくばって玉を探す子供がいる。見つけた玉で打ったところを革ジャン姿の若い男に首根っこを掴まれ、タケシ!!駄目だろと連れて行かれる武(小宮康弘)は、五歳。近くの中華料理屋楓林で゛働く伴内国子(高峰秀子)の一人息子だ。革ジャン姿の男は国子の弟の林弘二(黒沢年男)だ。国子は女手一つで武を育てていた。武は幼稚園が嫌いですぐ逃げ出してパチンコ屋で遊んでいるのだ。
テストコースで、新型バイクのテスト走行をしている。テストは大成功だ。ヤマノモータースの専務の柿沼久七郎(小沢栄太郎)、川島友敬(加東大介)、黒金周一(土屋嘉男)、重役(十朱久雄)らが、「これでライバルの極東モータースも、インターナショナルモータースも愕然とするだろう」と祝杯を上げる。川島が「ジェミニ・ブルースターでどうでしょう」と言う。上機嫌で自宅に電話をする柿沼。女中のふみ江(賀原夏子)が電話を受ける。「週末に、絹子と健一を連れて箱根にでも行こうと思っているのだが、絹子はいるか」「奥様は、学校の同窓会のバザーの打合せで外出なさっています。」
名曲喫茶の同伴席に、柿沼の妻絹子(司葉子)と小笠原進(中山仁)の姿がある。絹子は、別れたくないと言うが、家庭は捨てられないのだ。小笠原は、NYへの転勤を期に、この関係を清算したいと言う。店に絹子宛ての電話が入る。万事心得た女中のふみ江からで、夫が帰宅するので、一時間ほどで帰宅してほしいとのことだ。絹子は、運転する車の中でも、別れたくないと言い続ける。自宅近くにまで戻り狭い視界の悪い道を走っているときに、武が飛び出して来て、はねてしまう。バックミラーに武が立ち上がろうとしたのを見て、車を出してしまう葉子。小笠原と一緒で厄介だという気持ちが勝ってしまったのだ。しかし帰宅して車のバンパーに武の血がべっとりとついていることに気がつき、夫に子供をはねてしまい、逃げてしまったと告白する。柿沼は、新車の発表直前に、会社の重役の妻がひき逃げしたとは、どうマスコミで叩かれると考え、身代りにお抱えの運転手の菅井清(佐田豊)
54年東宝成瀬巳喜男監督『晩菊(468)』
倉橋きん(杉村春子)のところに、周旋屋の板谷(加東大介)が訪ねてくる。女中の静子(鏑木ハルナ)は聾唖者だ。おきんは、家の代金20万円を支払う。コツコツ貯め込んだおきんは、不動産を売買しながら、昔の芸者仲間に金貸しをしている。
まずは、おでん屋をしている中田のぶ(沢村貞子)と仙太郎(沢村宗之助)夫婦を訪ねる。おきんは裏口から入り、おのぶに、いつものように逃げられるといけないと思ってねと嫌みを言う。おのぶは、神棚に上げてあったお金を渡す。これからたまえのところに回るが、いつもあの人には居留守使われてね、あの人の厚化粧、いい旦那でもいて貯め込んでいるんじゃないかと悪態をつくおきん。いやあの人は、息子さんの面倒で苦労されていてそれどころじゃないですよと庇うおのぶ。
おきんはおたまが働く旅館に行く。玄関の掃除をしていた女中(出雲八枝子)が、おたまさんは体の具合が悪くて二日前から休んでいますよと答えるが、信用しないおきん。女中に水を撒きますがと言われて渋々引き揚げる。
やはり芸者仲間だった鈴木とみ(望月優子)が、たまえの家に間借りしているので、おとみが掃除婦として働く下宿屋に行くおきん。
杉村春子、望月優子、細川ちか子、ベテラン女優の手練手管が炸裂する。沢村貞子でさえ十両(失礼な言い方だが・・・。)、有馬稲子は序の口だ。役柄の問題だろうが、吝い屋で冷静な杉村春子よりも、だらしない望月優子、おっとりしてお人よしの細川ちか子の魅力が光る。それは、自分のだらしなさや無計画性を投影しているせいなのだろうな。
67年東宝成瀬巳喜男監督『乱れ雲(469)』
官舎の成城寮を出る江田由美子(司葉子)。通産省に勤める夫の宏(土屋嘉男)と待ち合わせだ。宏はアメリカの大使館の一等書記官の辞令を見せる。スピード出世で、いよいよ3週間後にはワシントン勤務だ。由美子の胎内には3カ月の命も宿っていた。二人は幸福の絶頂だった。宏は、部長のお供で、大臣の国会答弁用の原稿を作りに、箱根に行くと言う。由美子は、姉の石川文子(草笛光子)の団地を訪ねる。石川(藤木悠)と息子は自分のことのように祝ってくれた。
由美子を駅まで送った文子が戻ったところに、由美子宛てに箱根から電話が入る。宏が交通事故で亡くなったと言う知らせだった。義兄に付き添われて、霊安室で、夫の亡骸と再会する由美子。局長(村上冬樹)と部長(伊藤久哉)が遺体に付き添っていた。
官舎の集会所で、宏の告別式が行われている。明治貿易からひときわ大きな花輪が出ている。宏が、通産省輸出振興部の所属であり、加害者が商社だったことで気を使ったんだと噂をする宏の同僚たち。そこに、部長の藤原(中丸忠雄)と加害者の三島史郎(加山雄三)がやってくる。お前の過失ではないんだし、俺がお焼香すればいいんだと言う藤原に、それでは気が済まないのでと答える三島。果たして、京都から列席した宏の父親(竜岡晋)は、宏を殺したのはお前なのか、よく、顔を出せたものだと、烈しく罵られる三島。何も言わずに睨む由美子の眼差しが三島を責めた。
帰りの車の中で、本当に武内常務に直接聞くのかと藤原に、頷く三島。武内(中村伸郎)は、無期限の自宅謹慎、裁判と補償が決まり次第、青森出張所に左遷と言う話を認めた。我々商事会社は通産省輸出振興部の顔色を窺わざるおえんのだと言う。実は三島は、武内の娘の淳子と交際していた。この件とは関係なく、淳子との婚約は私は認めんと言う武内。下宿に帰宅した三島を淳子(浜美枝)が待っていた。いつものように、部屋を掃除し洗濯をしてくれていたが、一緒に青森に来てくれと言う三島の言葉に、私は行けないと言う淳子。
裁判が開かれ、今回の事故は、直前に起きたパンクによってハンドル操作が不可能になったことが原因であり、不可抗力によるものと認定され、無罪を言い渡される三島。その頃、役所の出納課で、死亡退職金の説明を受ける由美子と文子。胎児は5か月以上になると遺族年金の対象になるが、3か月なので、全く出ないとか、もし、再婚などで江田家の戸籍から抜けると、年金の受給権は無くなると、あくまでも事務的に説明をする係員。宏の死亡以来呆然自失の由美子は、文子に任せきりだ。
その後、由美子が宏と待ち合わせた喫茶店で三島と待合せる文子と由美子。既に来ていた三島に、裁判はどうでしたかと尋ねる文子。無罪でしたと聞いて愕然とする姉妹。では慰謝料などは支払わないというのですかと尋ねる文子に、法律的にはそうでも、自分の気持ちとして支払います、ただ、サラリーマンなので分割にしてくださいと給与明細を出す三島。お金よりも、夫を返してという由美子に、先に帰りなさいと言う文子。月々1万5千円を10年間支払うことになったと、帰宅して石川に説明している文子。しかし、自分だったら支払わないかもしれないなと石川。お金なんていらなかったのにと由美子。
由美子が中絶手術を受けている。麻酔が覚めると、病室の外に三島が立っていることに気が付き、目を背ける由美子。文子が戻ってくる。青森に転勤することになったので、連絡先をお伝えに来ましたと三島。帰ってもらって!2度と目の前に顔を出さないでと叫ぶ由美子。
成瀬巳喜男月間最終日ということもあり、満員札止め、猛暑の中やってきたシルバー層が肩を落として帰っていく。
山城新伍さんの訃報。代表作が「白馬童子」「仁義なき戦い」「チョメチョメ」という報道を見て、いろいろ考える。。テレビ司会者や映画監督としての山城新伍を思い出すに、代表作がないのがバイプレイヤー山城新伍の魅力かもしれない。東映京都撮影所のプログラムピクチャーのバイプレイヤーには、どんな映画でも毎回クレジットに名前が出続けることが凄いことなんだと思う。
テストコースで、新型バイクのテスト走行をしている。
名曲喫茶の同伴席に、柿沼の妻絹子(司葉子)と小笠原進(
54年東宝成瀬巳喜男監督『晩菊(468)』
倉橋きん(杉村春子)のところに、周旋屋の板谷(加東大介)
まずは、おでん屋をしている中田のぶ(沢村貞子)と仙太郎(
おきんはおたまが働く旅館に行く。
やはり芸者仲間だった鈴木とみ(望月優子)が、
杉村春子、望月優子、細川ちか子、ベテラン女優の手練手管が炸裂する。沢村貞子でさえ十両(失礼な言い方だが・・・。)、有馬稲子は序の口だ。役柄の問題だろうが、吝い屋で冷静な杉村春子よりも、だらしない望月優子、おっとりしてお人よしの細川ちか子の魅力が光る。それは、自分のだらしなさや無計画性を投影しているせいなのだろうな。
67年東宝成瀬巳喜男監督『乱れ雲(469)』
官舎の成城寮を出る江田由美子(司葉子)。
由美子を駅まで送った文子が戻ったところに、
官舎の集会所で、宏の告別式が行われている。
帰りの車の中で、本当に武内常務に直接聞くのかと藤原に、
裁判が開かれ、今回の事故は、
その後、由美子が宏と待ち合わせた喫茶店で三島と待合せる文子と由美子。既に来ていた三島に、裁判はどうでしたかと尋ねる文子。無罪でしたと聞いて愕然とする姉妹。では慰謝料などは支払わないというのですかと尋ねる文子に、法律的にはそうでも、自分の気持ちとして支払います、ただ、サラリーマンなので分割にしてくださいと給与明細を出す三島。お金よりも、夫を返してという由美子に、先に帰りなさいと言う文子。月々1万5千円を10年間支払うことになったと、帰宅して石川に説明している文子。しかし、自分だったら支払わないかもしれないなと石川。お金なんていらなかったのにと由美子。
由美子が中絶手術を受けている。麻酔が覚めると、病室の外に三島が立っていることに気が付き、目を背ける由美子。文子が戻ってくる。青森に転勤することになったので、連絡先をお伝えに来ましたと三島。帰ってもらって!2度と目の前に顔を出さないでと叫ぶ由美子。
成瀬巳喜男月間最終日ということもあり、満員札止め、猛暑の中やってきたシルバー層が肩を落として帰っていく。
山城新伍さんの訃報。代表作が「白馬童子」「仁義なき戦い」「チョメチョメ」という報道を見て、いろいろ考える。。テレビ司会者や映画監督としての山城新伍を思い出すに、代表作がないのがバイプレイヤー山城新伍の魅力かもしれない。東映京都撮影所のプログラムピクチャーのバイプレイヤーには、どんな映画でも毎回クレジットに名前が出続けることが凄いことなんだと思う。
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