2009年8月13日木曜日

黒い雨の翌日は、黒い雪

   ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第48弾】星由里子
   64年東宝稲垣浩監督『がらくた(462)』
  室町時代末期、1500年頃、泉州堺の街は、自由都市として繁栄を極めていた。そこの泥棒市場に一人の青年(市川染五郎)が現れる。インチキ博打を見破って土廻りの連中から追い掛けられるが身軽に逃げる青年。彼の顔を見た老婆の占い師(五月藤江)は、とてつもない幸福を得るか、その反対かどっちかと言う。自分は今、銭がないが、ありがとうと礼を言う若者。若者の名前は勘三郎。水呑百姓で、土一揆を起こした土蜘蛛だった。
   千束屋の主人(左卜全)が、盗人から南蛮渡来の砂糖を買っている。その後、勘三郎がやってきて、5貫目で自分を買ってくれと言う。せいぜい一貫目だと言う主人に、砂糖のことを訴人すれば一貫目貰えるだろうと言って脅し、何とか話を聞いて貰う。どういう所で働きたいかと尋ねられて、あまり口を訊かないですむところがいいと答える勘三郎。主人は、勘三郎を店の奥に案内すると、脚がない男たちが、籠を編み、盲目の男たち(天本英世)が石臼を押している。みなそれぞれ相応しい働き場所があるのだと言う主人。働く者たちは、皆土一揆で不具になったことを知る
  主人は、勘三郎を、元海賊で飛ぶ鳥を落とす勢いの豪商黄旗屋に紹介してくれた。その日、黄旗屋は、娘の蒔絵(大空真弓)の花婿選びの宴会が行われていた。公卿の木辻中納言(有島一郎)と、細川家の重臣で管領職の猪谷兵馬(中丸忠雄)、博多の海賊の倅小次郎(早川恭二)五郎次(野村浩三)らが呼ばれている。現主人の庄兵衛(田中春男)は兵馬を、先代の庄左衛門(小川虎之助)は中納言を血縁にしようと考えていた。蒔絵は、小次郎を含めた3人を競わせて自分のプライドを満足させようとする高慢な娘だった。更にお抱えの狂言師の宮千代(平田昭彦)にも、私の夫にはなれないけれど、私の好きな人だと思わせ振りな色目を使う。宮千代は、黄旗屋の下女お京(中北千枝子)と関係がある。当時、使用人同士の関係は不義だった。
    黄旗屋は、めでたい日で、使用人たちも酒を振る舞われ無礼講だった。新入りの勘三郎は、薪割り、水くみなど寡黙によく働いた。井戸の前で、薪を割っていた勘三郎は、お京を探しに来た、黄旗屋の次女の緑(星由里子)に出会う。思わず平伏す勘三郎だったが、緑は自分が飼う鸚鵡のルリの番人を命ずる。蒔絵は、小次郎に誘われ、庭に出るが、押し倒すことしか出来ない小次郎を池に突き落とす。
   勘三郎は、船頭の

    シネマート六本木で、日活シネマクラシックVol.2 継承 川島雄三~今村昌平
    55年日活川島雄三監督『あした来る人(463)』


   東宝平川雄一朗監督『ROOKIES-卒業(464)』
    2009年3月二子玉川学園高校の卒業証書授与式が行われている。私語、携帯メール、全く落ち着かない雰囲気だ。

    アートポート ジョー・マ監督『さそり(465)』
    刑務所の中を、失神した松島ナミ(水野美紀)を運ぶ看守たち。所内の庭に鎖で吊り下げられるナミ。明かりが消され、温度も下がっていく中、自らの死を確信するナミ。ナミの追想、大学の構内にいるナミの携帯が鳴る。恋人のタイペイからのメールだ。今日のパーティーの服装について尋ねるメールに、裸は?と返信するナミ。ナミと恋人のタイペイ(ディラン・クォ)が愛し合っている。今から父親と妹を迎えに行ってくる。パーティーの前に一緒に食事をしたいので、手料理を頼むと言い残して出掛けるタイペイ。カクテルドレスに着替えたナミが食事の支度をしている。そこにサディスストの鉄人と、ミニドレスがエロチックな星愁、メガネにスーツの男蒼狼(サム・りー)、赤城が現れ、タイペイの父親のラム教授を殺すのだと言う。更に彼らは、ナミがタイペイの妹を殺さなければ、ナミの前でタイペイを殺すと言う。タイペイたちが戻るまで、脅迫され続けたナミは、思考力が停止し妹を殺してしまう。タイペイは、ナミを逃がそうとしたため共犯者と疑われ、嘘発見器に掛けられた。釈放されたものの
愛するナミが父と妹を殺したと言う現実を受け入れることが出来ない。
    ナミの刑務所生活は地獄のようなものだった。雑居房に入れられた初日には、新入りへの挨拶として、激しいリンチを受ける。牢名主のダイユー(夏目ナナ)は圧倒的な腕力で恐怖支配していた。さっそく半殺しの目に遭わされるナミ。同室にロボトミー手術を受けた女がいる。彼女にひなげしの花を握らせるナミ。鬼のような刑務所長(ラム・シュ)は、恋人のタイペイに会わせてやるとナミの身体を弄る。所内での生殺与奪を持つ男だ。せっかく再会したタイペイは、ナミの首を絞めた。
    所内では、ジャック・ダニエルのボトルを賭けた女囚レスリングが行われている。所長たちの博打の対象だ。そこでもダイユーは圧倒的な力を持っている。ロボトミー女が、倒し方を覚えないとここでは生きてはいけないと呟くのを聞いて、腕や脚の動きを見つめるナミ。ダイユーの妹分は敗れ失神する。その夜、ナミはダイユーに復讐する。妹分の女を絞殺したのだ。荒れ狂うダイユーは、看病を命じていた女囚を殺害し、懲罰房に入れられる。激しい拷問を受けたダイユーに、所長は手を下したのがナミだと告げた。シャワー室にいるナミを、ダイユーと彼女の子分たちが襲い掛かる。死闘の末、ダイユー以外の女囚は倒したものの、ダイユーは強い。水の入ったドラム缶に押し込まれ、遂に窒息するナミ。助けようとしたロボトミー娘も同じドラム缶に押し込まれる。窒息死した娘の手からひなげしの花が落ちた瞬間、ナミの意識は戻り、娘の頭頂部を塞いでいる金属板を剥ぎ取りダイユーの首を掻き切るナミ。そしてナミは、刑務所の空き地のクレーンに吊り下げられたのだ。意識が遠くなりながらナミは「このまま死んだら、私のことなんて忘れ去られるだけ。まだ死ねない。恨みを晴らすまでは…。」翌朝、ナミの遺体は、看守たちによって、シートに梱包され、刑務所から運び出され、山の森の中に棄てられた。
   ナミの死体が入った包みを担いで、廃屋に運び込む男の姿がある。地獄から蘇った奴は、最強の武道家になると呟く男。

日本語吹替だと思い込んでいたら、広東語だった。シネパトスが日本語版、シネマートが広東語だったんだな。予告編の日本語吹替の違和感が気になっていたので、字幕でよかった気がするが、広東語も全編アフレコなので、水野真紀、石橋凌、夏目ナナもきれいに吹替られている。みんな香港の俳優のようだ。英語版もあるのだろうか(笑)。ともかく、日本語版と広東語版、どっちを見たかによって、少し印象は変わるかもしれない。シネパトスでも見るかどうか、少し考えてしまうが・・・。
   「さそり」は何度も作られてきたが、伊藤俊也・梶芽衣子版の凄さに自滅したものが多いと思う。そうした意味で、日本の映画ファン的な過度の思い入れのない香港映画人による換骨奪胎は少し成功していると思う。しかし、日本出資の香港映画。出来は決してよくはない・・。

   銀座シネパトスで、谷崎×エロス×アウ゛ァンギャルド 美の改革者 武智鉄二全集
   65年国映/第三プロ武智鉄二監督『黒い雪(466)』
   横田基地の前にある売春宿、英子(松井康子)の上に乗ったままの黒人兵(リカド・ヘモサ)。英子は手を影絵のキツネの形にして天井に映している。隣の部屋の天井の隙間から覗いている若者がいる。売春宿の女主人の息子の崎山次郎(花ノ本寿)だ。次郎は、宿の前の駐車場にあるタクシー乗り場にいつものように若い娘が立っていることに気がつく。娘の父親はタクシーの運転手で、毎日弁当を渡しにここへ来るのだ。娘が助手席に乗り込んでしまったので、売春宿に戻る次郎。
   英子が、「ちょっと!あんたさっき覗いていたでしょう。妬いてんのね、坊や」と言う。母親の弥須(村田知栄子)が「病気の雪枝ちゃんの代わりの若い女の子をおばさんが連れてきてくれたわ」と言う。おばの由美(水町圭子)は、米軍将校のオンリーでえらく羽振りがいいのだ。おばさんが雪枝に、あんたの病気はどの位かかるんだい?と尋ねる。口の中におできが出来たのだと雪枝。変わりに連れてこられた娘は皆子(滝まり子)と言った。幸江は、母親の部屋に移ることになり、幸江の部屋に、皆子の荷物を運んでやる次郎。「俺のことどう思う?」「最初は怖かったけど、イカすと思うわ」次郎と皆子がディープキスをしていると、自分の日本人形を取りにくる雪枝。腋の下に大量の天花粉をはたく雪枝。

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