2009年6月29日月曜日

女は女なのか?女の映画4本立て

   シネマヴェーラ渋谷で、神代辰巳レトロスペクティブ
    74年日活神代辰巳監督『濡れた欲情 特出し21人(371)』
   釜ヶ崎の立ち呑み屋で、一杯の酎をあおって酔っ払おうと、あたりを走り回る芳介(古川義範)。酔いつぶれて、歩道で寝てしまう。翌朝目が覚めると目の前に財布が落ちている。看板の陰に隠れて中を確かめると6万円入っている。狂喜乱舞する芳介。(駅前は何故か吉祥寺だ(笑))
   海辺の町のドライブインに、芳介の姿がある。向かいに座った客の外波山文明(本人)に、全国を渡り歩いてすけこましをしているが、今まで5人ほどこましたが、最近やれる女かどうか、一目で分かるようになってきたと自慢している。外波山は、はみだし劇場という旅廻りの役者をやっているので、どこかでまた会うだろうと芳介に言うと、女の客(芹明香)に何事かささやいて仲間(内田栄一)とトラックに乗り込んだ。女が波止場をブラブラするのを芳介は追い回す。女は、さっきのお客はあんたがスケコマシだから気をつけろと言っとったで、あんたお金持ってる?少しならと言うと、芳介を連れ込みに案内する女。最初にお金をくれと言う。女の名前はメイ子、抱きながら、一緒に旅しようとしきりと口説く芳介。行く~とメイ子が叫ぶが、どっちの意味だかは分からない(苦笑)
   浅草ロック座の旗がかかったマイクロバス、宝とも子ストリップ一座の面々が乗って全国を回っているのだ。横をはみだし劇場のトラックが抜いて行く。外波山が「夕子はーん!!!」と声をかける。とある街に入る。夕子(片桐夕子)がそとを見るとかっての自分の男芳介が女連れで歩いているのを見かける。バスを止めさせ、追いかけるが見失う。
   信州の上山田温泉、ストリップ小屋信州シャドーに宝由加里ショウと看板が掛かっている。金髪のウィッグをつけた夕子が踊っている。客席には外波山の姿も。舶来の金髪やでと陰毛を外波山にあげる夕子。ストリップ小屋の夜は、楽屋に雑魚寝だ。ヒモの修(粟津號)が女とやっていると、隣に寝ている英吉(高橋明)も始めた。まゆ(絵沢萌子)の夫の久作(庄司三郎)は、女房が寝ているのをいいことに、夕子に手を伸ばし、前からすきやったんや、お前かて芳介に操たててもしょうもないでといいながら迫っている。抗う夕子。その最中まゆが目を覚まし、男が逃げたからって、人の旦那取るような真似するんやないと怒って、夕子の頬を打つ。久作は、まゆとの赤ん坊を抱えて、おかあちゃん怖いなあと言って他人事だ。翌朝、信州シャドウを出ていく夕子の姿がある。社長の前に、久作が出て、大金をお借りしていながら、こんなことを起こしてしまって、お詫びのしようもございませんと言って、皆が止める間もなく、指を詰めた。痛て~といいながら血だらけの手で、医者を探して走り回る久作。
    青森のストリップ小屋、芳介は、メイ子に、浅草ロック座の女社長は、30歳を超えてからストリッパーになったが、今では何軒もの小屋の社長になった。浅草ロック座といえば、日本中の人が知っているストリップと軽演劇の殿堂だ。トルコ嬢はお湯に一日中入っているので肌が荒れる、パンパンは最後は病気になる、ストリッパーは裸を見せるだけだと口説いている。テープレコーダーのスイッチを入れると、流れて来たのはスパイダースの「弘前のお婆ちゃん」だ。音楽に合わせて踊り始めるメイ子。そこに、衣装の入ったスーツケースを持った夕子が現れる。芳介にあんた探したんよと言う夕子。三人で喫茶店で話し始める。わしは、どっちも愛しているので一方を選ぶことはできないので、二人であんじょう話して決めてくれと芳介。夕子とメイ子は、そんなこと言われてもと困惑顔だ。それなら3人で旅しようか、レズショーは金にもなるし・・・と芳介。雪の中、三人は歩いている。急におしっこがしたいと言って、豪快に雪に小便をする夕子。
     どこかの地方都市の商店街の真ん中、果物屋の前で、軒下劇場、混乱出血鬼という幟を立てた外波山文明、内田栄一が渡世人姿で、芝居を始めた。果物屋の店員にいきなり仁義を切り始める外波山、最後には内田に斬られ、赤い血糊をバケツで掛けられ、塩を撒かれる。通行人は当惑顔で、離れたところで見ている。
    ストリップ小屋の舞台に、夕子とメイ子が上がる。二人のレズショウは大人気だ。客席には外波山文明の姿もある。大歓声の中、荒い息で舞台を降りてきた二人。メイ子は、こんなショウを1日4回もやったら、体が持たないので、やめさせてもらえないかと言い出す。10日間の契約があるんやでという芳介。三人で喫茶店に行く。お前、いちいち本気で感じているからだと芳介。メイ子は、すっかり夕子にくっついたままで、私も引っ張られやすい性格だから本物のレズになってしまいそうだしと言う。メイ子をなでながら、そうやな契約もあるから、こんどから私が責められる側になろうかと言っている。夕子がおしっこをしたいとトイレに走り出すのを追いかけて、布団部屋で夕子にのしかかる芳介。
   夜、安居酒屋で、芳介が呑んでいる。隣には外波山がいる。気の強い女がいい、気の強い女は案外優しいもんだ、優しそうな女は、誰にでも優しいと愚痴を言う芳介。近くでひとりで飲んでいた女(吉野あい)をつける二人。家に帰ってしまったらあと付けても無駄なんじゃないかという外波山に、あの女は地元ではないという。外波山は、女に後ろから来る男はスケコマシであんたを狙っているので気をつけろと言う。しかし、女は、歩いてきた警官に、この男は痴漢ですと突き付け、外波山はブタ箱に入れられる。芳介はそのまま、列車まで付いて行く。女がトイレにいった時に後をつけ、女を殴り強姦する。性懲りもなく、一緒に旅に出ないかと誘っている芳介。女は小さく「行く」と叫んだ。外波山が入っているブタ箱に入れられる芳介。あのスケ感じていたくせに駅についたら公安に突き出しやがってと芳介。二人で、春歌を歌う。
    久作が突然小屋に現れ、ヤクザになったと言う。兄貴と遠くまで旅をしなければならなくなったので、社長の車を貸してくれと頼む。大金を借りたまま姿をくらましていた久作は、勿論断れらる。子供をおぶったまゆが、戻って来てくれと哀願しても出ていく久作。
   なぜか、芳介が列車内で強姦した女とメイ子が二人風呂に入っている。女の名は、さゆり。さゆりに、浅草ロック座の社長は、30歳を過ぎてから裸になるだけで、何軒もの小屋を持つまでになったことと、浅草ロック座は、30年、40年も続くストリップと軽演劇の殿堂で、全国に知れ渡っていると話している。夜ロック座の女社長が寝ていると、長ドスを持った久作が現れる。目をさました社長が、久作金を貸してほしいのかと言うと、突然、長ドスを突き出す。騒ぎに気が付いた男衆も駆け付け大騒ぎになっている。今日も、浅草ロック座では、沢山の踊り子が踊っている。メイ子とさゆりのレズショウが始まった。 

   80年にっかつ神代辰巳監督『少女娼婦 けものみち(372)』
   暗い蔵の中で、茶箱の中から古い人形などを出している少女がいる。古い本と幼児の博多人形を取り出し、セーラー服を脱ぎ自分を慰め始める。海辺の街を、サキ(吉村彩子)と外男(夢双紋)が自転車を漕いでいる。海岸にいる二人。カモメの大群が騒がしい。外男は、昨日カモメに石を投げて殺したと言う。悲しい鳴き声をしながら海に落ちて行った姿を忘れられないと言う外男に、止めてと叫ぶサキ。スカートのまま逆立ちをするサキ。サキの体を抱きしめて股間に顔をうずめる外男。浜辺の小屋にサキを連れて行き、繋がろうと言う外男。繋がると言う言葉にサキの心は動いたが、初体験は苦痛だけだった。濡れることも気にせず、波打ち際で横たわるサキ。外男は自転車で走り去った。
    雨が降り出し、ずぶ濡れで自転車を押すサキ。目の前にダンプカーが止まる。運転していたのは、アタル(内田裕也)だった。アタルは、サキの母親に言わせれば、女をやることしか考えていない男だ。先ほどまで助手席に乗っていた遊子(水島美奈子)が、仕事を休んで、買い物に付き合ってくれと甘えるのを面倒くさくなって、無理矢理降ろしたばかりだ。乗らないかと声を掛け、自転車を荷台に放り上げ、サキの身体を助手席に押し上げた。
    アタルはお前の母ちゃんは、男が出来る度に屋台を作ると聞いたが本当か?と尋ねる。5台、5人だとサキ。お前を抱きたいが男を知らないなと言うアタルに、馬鹿にするなと答えるサキ。ラブホテルに入る二人。シャワーを浴びているアタルの所に行って、さっき経験してきたのできれいにしてと言うサキ。アタルを受け入れるが、苦痛しかないサキ。
   サキの母親(珠瑠美)が電話をしながら、新しい男(高橋明)と抱き合っている。あんたあたしと屋台を曳いてと言う母親。夜の海辺の屋台、サキと母親がいる。ぐっと酒をあおったサキが、お父さんはどういう人だった?と尋ねる。母親は、アル中でどうしようもい男だったから忘れたと答える。お父さんとやった時は感じた?と尋ねるサキ、女はいつでも感じる、強姦されても感じると母親。感じない時はどうしたらいい?とサキ、感じるまでやるのさと母親。酔っ払って屋台を引く母子。足がもつれて砂浜に転げ落ちる。転がる母親に母ちゃん大好きと言って、乳房を吸うサキ。


     池袋新文芸坐で、「グランプリ女優」と呼ばれた、大映の大輪 京マチ子のすべて
     61年大映東京吉村公三郎監督『婚期(373)』
     静(若尾文子)は、唐沢卓夫(船越栄二)のもとに嫁いだ。唐沢は、春山荘の社長で金持ちだが、姉の冴子(高峰三枝子)は一度結婚したが離婚後デザイナーとして自活しているが、妹の次女波子(若尾文子)三女鳩子(野添ひとみ)という小姑と、弟の大学生典二郎(六本木真)らが同居している。波子と鳩子は、家庭のために犠牲になっていると貞淑妻顔をした静がどうも気にくわない。ある日、静に、卓夫が外に妾を囲っていて子供までいるという手紙が来る。

     61年大映東京吉村公三郎監督『女の勲章(374)』
     建築現場、既に内装工事となっている。そこに大庭式子(若尾文子)の姿がある。日輪のステンドグラスをどうしても入れたかった式子は、うっとりと眺めている。そこに、八代銀四郎(田宮二郎)がやってくる。先生来てはったんですか、双葉洋裁学院の園長の安田兼子(村田知英子)と交渉してなんとか洋裁学校認可証は、開校日まで出してくれることにはなったが、あの婆さん食わせ者だっせ、工務店の方も、建築費を値切っていたら、どうも見積書とタイルの使用枚数が違っていることが分かった、ちゃんとした工事をやり直させまっせと言う。今から山形組の事務所に行くと言う銀四郎に、よかったら、心斎橋の鶴の津で食事でも取りましょうと声を掛ける式子。
   そこに、式子の弟子の三人、津川倫子(若尾文子)、坪田かつ美(叶順子)、大木富枝(中村玉緒)がやってくる。ようやく開校ですねと言う娘たち。彼女たちは、式子が4年前に神戸の魚崎にある自宅で開いた洋裁教室の生え抜きだった。立体的な生地取りの上手い倫子、型紙の正確さにすぐれたかつ美、丁寧な縫製の富枝は、船場のいとはんだった式子が、両親を亡くし見よう見まねで洋裁教室を開き、関西ファッションデザイナーとして注目され始めた陰の戦力でもあったのだ。食事をしましょうと言う式子に、嬌声を上げる娘たちだが、銀四郎も一緒だと聞いて、顔を曇らせる。
   夕食が終わり、コーヒーを飲んでいると、銀四郎は、まだ仕事があると言って去る。いいところのボンボンなのに、家業を継がないで、なぜか式子の学校新設に奔走している銀四郎には、どうも気味悪いものを感じると言う倫子。商売のこととか分からないことをみんなやってくれる銀四郎に頼りきりの式子。その夜、倫子の部屋に、三ッ輪織物の販売宣伝部の野本敬太(内藤武敏)が訪れる。二人は深い関係だ。式子は大庭洋裁室と看板が掛かっている洋館に帰宅する。先代から仕えている女中のきよ(滝花久子)がコーヒーを持ってくる。この家の玄関の脇で始めた学校が4年で、洋裁学校を開校するところまで来た。両親に見せたかったと式子が言うと、涙を拭うきよ。
    聖和服飾学院の開校式だ。関西デザイナー連盟長の大原泰造(三津田健)と妻でデザイナーの大原京子(細川ちか子)がやってくる。万事如才なく立ち回る銀四郎。学院長としてあいさつをする式子。入学生、来賓、教師たち満場の拍手に包まれる。数日後。服飾デザイナー協会の会合が開かれている。合同ファッションショーを開催するので、、運営委員の選挙が行われ、双葉服飾学院の安田兼子(村田千栄子)が運営委員長に選ばれる。安田は、繊維メーカーからプリント生地3反の無償提供と10万円の協賛金を集めましょう、みなさんお付き合いありますよねと言う。開校したばかりの式子にそんなコネはない。どちらかご紹介いただけないでしょうかと式子が発言すると、ご紋章の方ねと、船場のいとはん上がりだから、ご実家のご紋を飾られた方ねと式子を辱める安田兼子。参加していた伊東歌子(日高澄子)が、新人への小姑いじめみたいなことをお止めになったらと安田に食ってかかり大騒ぎに。
    
   
   

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