昼をイベントプロデュース会社Hの、年下でリスペクトする友人Kさんの原宿のオフィスへ。彼とは、10年近く前に、自分が ポビー・the・ぱフォーマーと言う3DCGアニメに関わっていた頃、キャラクター系のイベント絡みで知り合って以来、それ以降は何も仕事上貢献出来ていないのに、忘れずお付き合いしてくれる奇特な人だ。飲み会の案内を出したら忙しいのに顔出してくれたことも。彼からその後どうしています?と言うメールを貰ったので、失業継続中ですとメールを返したら会ってくれることになったのだ。
実は、もう一つ気になっていたのは、去年見た邦画の製作総指揮として、珍しい彼の名前が出ていて、なにか事情が有ってしょうがなくお金出したんだろうなと思っていながら、昨年の金返せ映画の一本に上げてしまい申し訳なく思っていたら、同姓同名の別人だった。私の名前は、意外にありきたりで、何人も同姓同名の人を知っているが(名刺交換した人も、電話で話したことのある人もいる。プロ野球選手や一時メジャーデビューしたシンガーソングライターまで)、彼は生まれて初めてだと言っていた。
まあ、そんなKさんと昼ご飯を一緒に。質か量どっちの店がいいですかと聞かれ、身体は細いが体育会系のKさんだし、量ですかねと答えたら連れて行ってくれた店は、レギュラー、ラージ、ダブルとある店だった。勿論2人でダブルのロコモコを頼み(本当に二人分だった(苦笑))、ほぼ同時に完食。食べながら、どうして会社辞めたの?今何をしているの?何をやりたいの?と聞かれる。いくら、風邪が完治せず蓄膿状態で、1、2枚膜がかかったような脳みその、そうでなくとも常日頃から鈍感な私でも、これは、通り一遍の世間話ではなく、真面目に自分の身の上の相談に乗ってくれていることが解る。
しかし3日間、ボーっと寝ていた頭と、痰が絡む喉では、「うーんとねー、僕ねー」といったバナナマンが物真似する貴花田の小学生時代か、むーん坊(by いがらしみきお画伯)のような会話しか出来ない(恥)。そんな私を見かねて、こんなことを考えているんですが、興味ありますかと聞いてくれる。そうなると、YESかNOで大丈夫だ。餌を前に食べたいかと聞かれたカートゥーンアニメの犬か猫のように、無駄に頭を上下して勿論!と答える。大至急企画書まとめて送ることに。本当にKさんは奇特な人だなあ。昼も奢ってくれるし、今度こそ、仕事で返さないとと強く決意するものの。ロコモコのダブルで胃袋はマックスの状態だ。腹ごなしに明治通りを渋谷まで歩き、
渋谷シネマヴェーラで、官能の帝国ロマンポルノ再入門2。
84年にっかつ山城新伍監督『双子座の女(15)』 。夜の鎌倉の海岸を犬とランニングしている老人。急に心臓を押さえ倒れる。マスタングコンパーチブルに乗り、走らせる女。夜が明け、海岸には沢山の海水浴に来た若者たち。倒れたままの老人と、寄り添う犬。あるピアノバーで、男(南条弘二)は近くの席の女(五十嵐夕紀)に目が行き、誘うように手を挙げるが、立ち上がり店を出る女。女は男に背を向けてほくそ笑む。女が店を出たので、追いかけて店を出る男。店の外はどしゃ降りだ。店の角を曲がったところに雨宿りしている女に気がついて足を止める男。女は、男の星座を聞く。獅子座だと答える男に、火の星座は嫌いではないと言う女。タクシーを止めて、送って行くと言う男に、一度だけ後腐れない関係がいいと答える女。タクシーの中で、男は女の身体に手を伸ばす。結局鎌倉の男の家で関係する2人。
翌朝、男が目覚めると女いない。二階の寝室から降りると、車がない。車を少し借りると言う女のメモがある。女は朝食の買い物をして車を走らせていると、サーフショップで女(朝比奈順子)に、その車は中沢保の物だから、新しい女なのかと聞かれ、保の財産目当てなのかと言われた。コーヒーを飲んでいる保の元に戻る女。朝食をつくるという女に、仕事に出かけるので、出て行ってくれという保。女は、愛してしまったというが、後腐れない関係がいいと言ったのは君だろという保。仕事に出るので、送るといったが、タクシーを拾って帰るという女。
中沢保は、都内で何店かレストランバーを経営している。店に出ると、ピークを過ぎて売れなくなったせんだみつおが店内の女の子をナンパしている。せんだは常連らしいが、女の子は誰も相手にしないので、帰っていく。店の女の子の良子(香野麻里)が、LPをかける。その音楽に反応する保。クレジットには保の名がある。良子に聞かれ、昔学生の頃遊びで作ったんだと答える保。逆にそのレコードをどうしたんだと聞かれ、女性の人がオーナーに渡してくれと置いて行ったと答える良子。
保は、車でサーフショップに行く。オーナーの大和田(山田辰夫)と朝女に注意をした女・京子がSEXをしているが、保は、中断させて京子に亜希子(有明祥子)が帰国していることを何で教えなかったんだと聞く。かって、保と亜希子は恋人だったらしい。しかし亜希子は、保の浮気に傷つき、2年間ステンドグラスの修行にスペインに行っていたのだ。 亜希子の住む葉山の家に行き。今でも亜希子を愛していると言う保。当時の自分は子供だったから、許せなかったが、今でも保を愛していると言う亜希子。しかし、キスをする保に、その先は、もう少し時間が欲しいという亜希子。
そのあと、保が帰宅すると、家の様子がおかしい。2階の寝室に上がると、ベッドに昨夜の女が全裸でいる。怒る保に、寝室の窓が空いていた言う。自分は双子座で風の星座なので、火の星座の獅子座とは相性がいい。愛しているという女。一晩寝ただけの女で、自分には愛している女がいると叩き出す保。
刑務所を一人の男が出所してくる。帝都理科大の校門で学内を覗きこんでいる。学校から出てきた教員が「丸山先生じゃないです!?」と尋ねると、逃げるように車道に飛び出し、車にぶつかった。車には、保、亜希子、大和田、京子が乗っている。大丈夫ですかと聞く保に、逃げるように姿を消す男。男の名は丸山(中尾彬)。かって、帝都理科大の教授だった。
保たち4人がレストランで食事をしていると、ウェイターがシャンパンを持ってくる。あちらのお客様からですと言われ、保がそちらに行くと、例の女だった。保は、大和田に後を任せて、女を追う。結局捲かれてしまった。
保の経営するレストランバーで、良子が電話に出ている。支配人の洋一(水上浩次)に今日は早く上がると言って店を出る良子。保と良子がベッドにいる。愛し合いながら、良子は、今日が最後なんでしょうと言う。愛し合いながら、お前はいい女だという保に、都合のいい女でしょうと答える良子。保の車で自分のマンションに帰る良子。エレベーターに白い文鳥を連れた女がいる。エレベーターの中で、文鳥を良子にけしかけ去る女。顔から血を流しながら恐怖の目で女の後姿を見送る良子。
白い文鳥が入った鳥籠を下げ女がマンションに入っていく。その部屋には丸山がいる。激しく抱き合う丸山と女。女は、めぐみと言い、かって丸山の愛人だった。丸山の妻が包丁を手にめぐみに夫と別れろと迫っている。丸山の妻から逃げようとして、めぐみがワゴンを押すと、丸山の妻は倒れ、誤って包丁を自分の胸に刺す。そこに丸山が飛び込んで来る。包丁を胸に刺しながらも近寄ってくる妻に、思わず馬乗りになって首を締める丸山。5年で仮釈放になって出てきたのだ。今でも血だらけの妻の顔を思い出すといい、めぐみに迫る。5年の間、他の男と浮気をしたのかという丸山。マンゴーを食べながら、私といても不幸になるだけだから別れようと少なくない金を出して言うめぐみ。乱暴にめぐみに絡む丸山。
プールで泳ぎながら、キスをし、愛を確かめ合う保と亜希子。遊園地の観覧車の前で、沈鬱な表情の丸山とめぐみ。火葬場まで附いていくという丸山。ふた組の男女がエスカレーターの上りと下りで交差する。地下鉄に乗っている丸山とめぐみ。5年の間何をやって食べていたんだと聞く丸山。アロハを着た外人が地下鉄に乗ってきてメグちゃ~んと言う。めぐみは、何をしていたか教えてあげると言って、向かいの席に座った外人の腰の上に乗る。外人と痴態を繰り広げながら、丸山を怪しげに見続けるめぐみ。
ピンクサロンにいる丸山。女に捨てられたんだと言って、急に店の女に馬乗りになり首を締める丸山。そ騒然とする店内。店の男に引きずられて行きながら、笑う丸山は狂気の眼差しだ。その翌日、めぐみの前に、首を吊った丸山の壮絶な姿がある。文鳥を空に放すめぐみ。
江ノ電に、保と亜希子が乗っている。学生の頃、江ノ電が大好きだったという保。二人の間の空白の時間も今ではすっかり解消されているようだ。しかし、鎌倉高校前の駅に、喪服姿のめぐみが立っている。亜希子のステンドグラスが数日後、幼稚園を経営する教会に納品されると話す亜希子。また、東京から、ステンドグラスを教えてほしいといって生徒が一人来たと報告する。男かと聞く保に妬いている?と聞く亜希子。ある夜、亜希子がシャワーを浴びている。尖ったガラスを持って迫る女の影。ガラスで足を切ったので、洗わせてほしいとバスルームの外から声をかける女。その女は、めぐみだった。亜希子の乳房に大きな黒子があることをみつけるめぐみ。亜希子はめぐみの正体を知らない。
保が自分の店を覗く。事務所で、支配人の洋一と良子が抱き合っている。お幸せにと声を掛けて店を出る保。駐車場に行くと車がない。女が移動させていた。女は、家と車の合鍵を作っていたのだ。
とにかく車に乗れと言って、走り出す。金が欲しいのかと聞くと、めぐみは1億くれと言う。なんで1晩の割り切った関係で1億なんだと尋ねる保。金が欲しいのなら500万やるから、それきりにしろと言う保。
その夜、保の家でホームパーティがあった。ステンドグラスの生徒としてめぐみを招待した亜希子。
多くの人と盛り上がりながら酔う保。怪しげにあたりを見回すめぐみ。めぐみは勝手に2階に上がりベッドに寝ている。亜希子が上がってきて声を掛けるが答えない。何か不審を感じる亜希子。パーティが終わった。保の車を借りて、酔って寝てしまったみどりを自宅に連れていくという亜希子。みどりを運んでくれと亜希子に言われ、寝室に上がる保。捨てないでくれというみどり。自分は亜希子を愛しているという保。最後にキスしてくれれば別れるのを承知するというみどりにキスをする保。助手席にみどりを乗せて運転する亜希子に、保のことを話し始めるみどり。その怪しい表情に徐々に恐怖を覚える亜希子。酔っていた保もふと不安を感じ、亜希子の家に電話をするが、誰も出ない。あわてて、亜希子の家に向かう保。保の目の前には、燃え盛る亜希子のアトリエがある。アトリエから火だるまになった人間が逃げ出してくる。
病院で保は、医師に問いただしている。どっちの人間か分からないということはないだろうと言うが、わからないと答える医師。とにかく、今日、顔はともかく身体の包帯はとれるからわかるだろうという医師。
看護婦が身体の包帯を外すと、乳房に黒い黒子がある。ようやく安心する保。看護婦は、患者は、死んだひとに花束を手向けてくれと頼んでいると伝える。あんな女にと言う保に、彼女もかわいそうな女性だという。ようやく、顔の包帯がとれる日が来た。ローザンヌの療養施設に長期滞在して、二人きりの時間を過ごそうという保。包帯が取れたら、自分を愛していると言ってくれと言う。看護婦が包帯を外す。果たして、そこに現れたのは、みどりの顔だった。愛していると言ってほほ笑むみどり・・・・。
那須真知子の脚本もしっかりしているし、山城新伍人脈なのか中尾彬をはじめ役者もちゃんと演技をしていて、意外によく出来ているサスペンスだ。ピアノバーで、弾き語りで「モナリザ」を歌う高見知佳似の女性シンガー、いったい誰だったんだろうか。
しかし、冒頭の思わせぶりなジョギング老人の死は何だったのかとか、せんだみつおやら、せっかくの“たこ八郎”やら、山城新伍自身の出演やら、サービス精神で盛り込んだような部分は、正直かなりだるい。
81年にっかつ荒木経惟監督『女高生偽日記(16)』。女子高生リカ(荒井理花)は、六本木の交差点を歩いている時にモデルにならないかとスカウトされる。カメラマンのモジャ(吉原正皓)に言われた助手の野島短太郎(浅見小四郎)に声をかけられたのだ。声をかけておいてモジャは、スタイリストと目黒エンペラーに行ってしまう。六本木アートセンターのスタジオで延々と待った末、いろいろな衣装を着せられモデル経験をするリカ。原宿を歩いていると、クラスメイトの純子(森村陽子)や香織(萩尾めぐみ)たちが、ノーパン喫茶や、金持ちのボンボンとの援交で200万貯めたと聞き、一緒にやらないかと誘われるが断る。野島からモデルのバイトをしないかと誘われていった場所はラブホテルで、ビニ本のモデルだった・・・。
うう。これ以上書いてもストーリーは無いようなものだ。六本木のジャズバーでの怪しげなパーティーだけ、異常に豪華。赤塚不二夫御大、南伸坊、末井昭、篠原勝之、中村誠一クインテット・・・。80年代の「写真時代(こういう雑誌が白夜書房から出ていた)」文化の記録としてだけの意味。同タイトルのシリーズは、けっこう刺激的だったんだがなあ。写真時代より、もう少し前の時代だったと思うが・・・。
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