2010年11月11日木曜日

今更だが、キャタピラー。

    ポレポレ東中野で、若松孝二監督『キャタピラー(143)』

     1940年日中戦争…ニュース映像~燃える民家、逃げる中国の娘たち(安部魔凛碧、寺田万里子、柴やすよ)。追い掛ける日本兵(椋田涼)。家の中に追い詰め強姦する兵士(大西信満)。殺された女たちの瞳に、燃える炎が映っている。
    田んぼが広がる田舎の村、日の丸を振る割烹着姿の大日本国防婦人会の女たち。村の出征兵士を送る行進。後ろから赤い女物の着物を着た坊主頭の男(篠原勝之)が着いて来ている。道の向こうから乗用車が走って来る。軍用だと気がついた行列が真ん中を開けて、車を通す。再び行進を始める村人たち。 
     軍人二名(地曳豪、ARATA)が「黒川少尉を無事お送り出来て安心いたしました」「有り難うございました」と這い蹲る父親健蔵(吉澤健)、妹の千代(増田恵美)。嫁のシゲ子(寺島しのぶ)が「悲鳴を上げて走り出す。追い掛ける弟の忠(粕谷圭吾)。「いやー、」「義姉さん!義姉さん!」「いやー、嘘よ。久藏さんの筈がない!」まだ苗も植わっていない泥田で泣くシゲ子を励ます忠。
    四肢を失い顔にも大きなケロイドで横たわる久藏(大西信満)を前に、父健蔵と妹千代が話している。「いくら金鵄勲章と言ったって、こんな身体で帰って来たってしょうかないべ」「恩給たんまり出るんだべ」「泰蔵は骨になって、久藏は、こんな化け物みてえな姿になって…。」「いや、聞こえてるんじゃないの」聞こえやしねえよ。「耳もいかれているって言ってただろ。頭もやられてるんじゃねえのか」「薬で眠っているって言ってたね」「途中暴れ出したからと…」「しかし、義姉さん里に帰さんでよかったね。」
   久藏と向き合うシゲ子。 何かを訴えようと必死な久藏。「何?ああ、おしっこ」慌てて尿瓶を取ってくるシゲ子。大きな音をさせて放尿する久藏。落ち着いた表情に戻る久蔵を見て、ほっとするシゲ子。
   地元の神社で、命を顧みず勇猛果敢な活躍をして、生ける軍神となった黒川久蔵が、金鵄勲章功四等を得たという新聞記事を村長(河原さぶ)が読み上げ、村にとっての名誉だと、集まった村人の前で発表し、万歳三唱をする。勲章をつけた軍服を着て置物のように置かれている久蔵。しかし、その顔を誇らしげである。村長婦人(石川まき)や村の女たち弥生(種子)登志子(折笠尚子)らは口ぐちに「銃後の妻の鑑となれ」「お国の為に戦った久蔵さんにご奉公することがあなたの使命だ」「帝国軍人の妻として貞節を尽くせ」と励ます。

村の男(小林三四郎、金子貴明)司令部軍人(飯島大介)

   やはり、かなりやられる。凄いぜ、若松孝二、寺島しのぶ、それと久しぶりに元ちとせ。

    夜は、外苑前の粥屋喜々の店主と、高校時代の友人たちを中心とする仲間たちの誕生会。まあ、圧倒的に最年長だし、もっかのマドンナOさんからのお誘いなので顔を出し、アウェイ感を払拭しようと飲みまくる。知り合いが新宿で飲んでいるので顔出さないかとメールが来たのをしおに、抜けるが、原宿まで歩き、山手線に乗るなり、新宿駅ホームで向かい側の総武線各駅停車が三鷹行きなのを見て、酒の神様は帰れと囁いていると思い乗ってしまう。しかし、中野で目の前の席が空いて座ってしまえば、気がつくと三鷹駅終点だ。酒の神様は、酔いを醒ませと言っているのか(苦笑)

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