2010年5月22日土曜日

日本史における悪党という言葉の意味。

    久しぶりに、ラピュタ阿佐ヶ谷で、昭和の銀幕に輝くヒロイン【第53弾】岸田今日子

     65年近代映画協会/東京映画新藤兼人監督『悪党(98)』
     スズメバチの巣、激しく巣を出入りするハチたち。《NA東野栄治郎…14 世紀。日本歴史の中で、この時代は最も興味深い。貴族たちに変わって下層武士の悪党たちが力でのし上がり、打ち続く戦乱の中、京の都は、灰燼と帰した。乱世の中、朝廷は南北に分裂、南朝は、吉野を都として後醍醐天皇を立てた。蔵王党を率いる楠木正成は、金剛山の麓の千早城に陣取った。一方、北朝は、関東の足利尊氏を将軍として京にあった。武蔵守であった高師直は、将軍家執事として絶大な権力を誇っていた。》
   高師直(小沢栄太郎)の京の屋敷に、当代の名人、覚一検校(和沢昌治)が、琵琶を弾き、平家物語を詠じている。風邪を引き伏せっている師直は退屈そうだ。そばにいる侍従(乙羽信子)も、扇の陰で欠伸をかみ殺している。3人の女官たちも居眠りをしているもの(川口敦子)も。師直の家来の3人の武将、桃井播磨守(森幹太)大平出雲守(江角英明)山名伊豆守(原田清人)も、所詮東国の田舎侍居眠りこそしなくとも辛抱しているだけだ。
   詠じ終えた覚一に、師直は、検校の平家はいつも素晴らしいが、今日は特に素晴らしかったと褒め、途中の歌は何だと尋ねる。師直だって、無教養な男、意味など分かりはしないのだ。源頼政が「鵺(ぬえ)」を射落としたほうびとして「あやめの前」と言う美女を手に入れるためだったら所領の10や20と取り替えてもよいと言う話しだったと聞き、京の美しい女は、随分見たが、そこまでして手に入れたい美女には会ったことはないと言う。
   侍従は、先帝の御外戚・早田宮の御女・弘徽殿の西の台、かって御所で一緒であった顔世は、上様さえも虜にした絶世の美女だと告げる。師直は、その話を聞き、今では武勲により上様より出雲国の塩冶判官高貞に下され、高さねの妻となっている顔世に強い興味を覚えた。その夜、師直は、侍従に案内をさせ、高貞の屋敷を覗きに行き、顔世(岸田今日子)の気高い美しさに、自分のものにしたいと思った。
   京で想いを伝えるには、歌を送らなければ駄目だと侍従から聞いた師直は、京で最も達筆だと言われている兼好法師(宇野重吉)を呼び出した。新古今集からの歌を書かせ、香を炊きつめた文を侍従に、顔世に届けさせた。返事は無い。一度では駄目だと侍従に言われ二度も出し、侍従は翌日返事を受け取りに行って戻ったが、箱の中にあったのは、自分が出した文だ。
   高実の弟の六郎(加地健太郎)が、文の箱を取り上げていたのだ。六郎は叔父の山城守宗村(殿山泰司)に相談をする。宗村は執事師直によって一族に難儀が降りかかると心配をした。二人の前に、家臣に捕らえられた侍従が連れて来られた。六郎が手荒に取り扱うのを、通りかかった高貞は止める。
   その夜、師直のことで眉を曇らす顔世に、高貞は信じていると言い、愛を確かめる。寝間より高貞が去ると、侍従が忍び込んできた。何か返事をするよう懇願し去らない侍従に、顔世は仕方なしに歌を書きつけ渡す。文を持ちかえった侍従に、師直は大喜びだ。しかし、顔世の返歌の意味が分らない。家臣の中で最も詩歌に長けた薬師寺次郎三衛門(高橋幸治)を呼び、顔世の返歌の意味を問うと、次郎三衛門は、この歌は新古今和歌集の中で、人の妻に恋をするような人の道に反した行為を諌める歌だと説明した。師直の表情が変わった。
   次郎三衛門の去った後、師直は、高貞を北国黒丸の討伐に派遣することを命じろと伝える。今日中に、出雲に戻り出陣の支度をし、即刻北国に向かえと言うのだ。

女房(藤原赫子・松田恭子・武川八重子・小野久子・宮島由巳子・吉田志津子)八幡三郎(清水絃治)木村源三(大木正司)女童(白川光恵)腰元(深沢英子・常盤公子)師直方の武将(尾鼻隆)乞食(宮田勝・中村門)

   映画館近くのキッチン8 1/2で、がっつりランチ食べてしまってから(情けない…)、体験入学の講師。今日は女子高生マンツーマン(特に意味はない)。日野の実家に顔を出し、夕食を取って帰宅。

   今週読んだ本: 佐野山寛太『追悼「広告」の時代(洋泉新書)』、西井一夫『新編昭和二十年東京地図(ちくま文庫)』、風野真知雄『耳袋秘帖・妖談かみそり尼(文春文庫)』『耳袋秘帖・妖談うしろ猫(文春文庫)』、鈴木英治『父子十手取物日記・息吹く魂(徳間文庫)』、藤原緋沙子『藍染お匙帖・風光る(双葉文庫)』『藍染お匙帖・雁渡し(双葉文庫)』、上田秀人『闕所物奉行裏帳合(一)御免状始末(中公文庫)』、『永井義男『吉原占屋始末・奸計(時代小説文庫)』

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