ラピュタ阿佐ヶ谷で、悪女礼讃。
70年大映京都池広一夫監督『おんな極悪帖(72)』
祭りらしき場所で、因果応報の地獄極楽覗きカラクリが出ていて大層な賑わいである。
三?藩の江戸下屋敷、節句の鯉のぼりが舞う晴天の下、藩主の首藤太守(岸田森)は哄笑しながら、家臣の首をハネる。その光景を眺める奥坊主珍斉(芦屋小雁)たちは震え上がっているが、まだ日が高いにも関わらず、太守は、側室お銀の方(安田道代)を寝間に連れ込み、裸にし、体中に歯を立て快楽に耽っている。そこに家臣が駆けてきて、上屋敷にくせ者が乱入し、奥方に斬りつけたが、何とか軽傷で済みはしたものの大至急お戻り下さいと、一大事を告げた。急ぎ支度をし、駕籠に乗り込む太守を見送ると、お銀の方は、侍女の梅野(小山明子)と、失敗したかと残念がった。お銀の方が産んだ嫡男照千代は二歳になるが、本妻に男児がご出生の場合、世継ぎの問題が起きかねない。早く奥方を始末しておきたいのだ。
梅野はお銀の方に、想い人の磯貝伊織(田村正和)を、お目通りさせる。無足の低い身分だが、剣の腕が立ち、顔立ちのよい10歳も年下の伊織に惚れぬいていた梅野は、下屋敷の長屋に住まわせることの許しをお銀の方から得る。梅野にとって30歳を越えての初めての色恋。夜毎伊織に通うのであった。
奥方暗殺に失敗した浪人赤座又十郎(遠藤辰男)が訪ねてくる。しくじっておいてよくもおめおめと顔を出せたものだと言うお銀の方に、かっては深川の櫓下の岡場所の不見転女郎から深川芸者、更に大名の側室に成り上がったお前のかってのお馴染みだった自分が四年振りに祭りで再会、奥方殺しを頼まれたが、昔のことも含め口止め料に千両よこせと強請りに掛かるが、梅乃に呆気なく頸動脈を切られ絶命する。いよいよ、お銀の方と梅野は、奥医師の細井玄沢(小松方正)から毒薬を手に入れ、正室を毒殺しようと決意する。
夜更けに、黒頭巾をした身分の高い侍がお銀の部屋を訪れる。男は、江戸家老の春藤靭江(佐藤慶)だった。自分の女の深川芸者お銀を、太守に献上するころで江戸家老の座を得た人物だ。身体を求めるお銀の方を明日にしようと言いながらも、女好きな奥医師玄沢への嫉妬を口にする靭江。靭江を帰して、玄沢を部屋に呼ぶ。玄沢も芸者時代のお銀を抱いた男の一人である。毒薬3包をご所望だが、靭江は自分が毒殺するので、奥方暗殺用の1包でいいだろうと手渡し、お銀の身体ににじり寄る玄沢。しかし、お銀が密かに酒に混ぜた自分の毒薬で玄沢は死ぬ。靭江が現れる。上屋敷に帰らず、お銀と玄沢のやりとりを盗み聞きしていたのだ。二人の悪巧み本気にしかけたぞと苦笑いする靭江。艶然と微笑むお梶の方。玄沢の死体を始末する梅野と伊織。
去年神保町シアターで見ていたな(苦笑)。正直、最後のどんでん返しはもう一つ。しかし、B級作品には勿体ない位のキャストと大映京都の本気の時代劇、何度見てもいい。
渋谷に出て、プリンターのインクを買い、外苑前の粥屋喜々に、明日のヤング@ハート日本最終公演@オーチャードホールのチケットを後輩Sに預ける。切ないなあ。千駄ヶ谷まで歩き、西荻ささら亭で飲んで帰る。
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