午前中は赤坂のメンタルクリニック。歩いてシネマート六本木。
ロバート・ログバル監督『神の子どもたちはみな踊る(139)』
プールサイドに少年がいる。ビーチサンダルを履いたまま、少年はプールに足を浸ける。そのまま水に入り、もがく少年。ベッドの中で眠るケンゴ(ジェイソン・リュウ)。ガラスのカップのティーバッグにお湯を注ぐ中年のアジア人グレン・スン(ツィ・マー)の姿。ケンゴは、まだ夢の中だ。8才のケンゴに老人が近づいて来る。「坊や、5ドルあげるから、ポケットの中にオシッコをさせてくれないか?」「イヤだ。僕のお父さんを知ってる?」…。煙草を吸いながら、お茶を飲むグレン。家を出るグレン。時計は、7:32を指している。ケンゴの部屋の時計は9:55を指している。ケンゴ薄目を開け「もう二度と嫌だ」と呟く。ケンゴの母イヴリン(ジュアン・チェン)がケンゴのベッドに入ってくる。ケンゴの寝顔を見て微笑むイヴリンは、今も美しい。
昨夜の記憶、ケンゴが、恋人のサンドラ(ソニア・キンスキー)と、コリアンタウンのバーで会っている。人気のない通りで、壁を背に立ったまま、サンドラを抱くケンゴ。サンドラの車の中でも、抱き合う二人。ケンゴを車で送る黒人の友人(あるいはタクシーか?)が、後部座席のケンゴに「一緒にいたのは彼女かい?美人だね。きっといい匂いがするんだろうな」
ベッドの脇の電話が鳴る。ケンゴが目を覚まし「ヤバい!!今日も遅刻だ」電話のメッセージ「ケンゴとイヴリンは留守にしています。メッセージをどうぞ」「グレン・スンです。ケンゴはいませんか?1時間の遅刻です。聞いたら早く来るように…。イヴリンさん。今日の調子はいかがですか?」ケンゴ「いつも敬語だよね」イヴリン「スンさんは紳士なのよ。シャワーを浴びて!!臭いわよ」着替えをしながら、暗室でサンドラのヌードの紙焼きを見ているケンゴ。知らず知らずに股間を机の角にこすりつけている。「早くしなさい」イヴリンの声がして、慌ててジッパーを引き上げるケンゴ。
ロスのコリアンタウンを歩くケンゴ。カフェに入り、カウンターの女の子と会話をする。「飼い猫帰って来た?」「一度戻ってきたけど、満月の夜にまたいなくなっちゃったわ」「満月が嫌いなのかい」「調子どう?」「僕は今日も遅刻だよ」「私は、女の子の日なの。憂鬱…」「うちの母さんは、何だかお茶を飲むな?」「苦くない?」「僕は飲んだことないよ(笑)」サンドイッチとコーヒーを手に取り、椅子に座るケンゴ。近くの席に、白人の中年男が座っている。彼が手にしているのは、産婦人科の学会誌だ。
ケンゴが極楽鳥アパートの管理オフィスのドアを開けて入ると、既にグレンは仕事をしている。「1時間50分も遅刻してしまいました」特に責めるわけでもなく、「あとで取りに来るから」とコピーしてくれと書類を渡すグレン。コピー機の前で、作業するケンゴの携帯がなる。恋人のサンドラからのメールだ。彼女のお尻や胸の写真に、思わず股間をコピー機に押し付けるケンゴ。
「?さんから、水道漏れをしていると、修理を頼まれていたんです」と嘘をついて、空き部屋に行くケンゴ。そこにはサンドラが待っていた。事が済み、裸の二人。「私の夢はあなたと一緒に暮らして、あなたの子どもを産むことだけ」「ぼくみたいに、あそこの大きな?」「ふふっ。ねえ、わたしと結婚して!!」「…結婚は駄目だよ。僕は神の子だから…」「あなた、またそんなこと言って!!私帰るわ」僕は、大きなチンコなんて望んでいなかった…。外野フライが取れればよかったんだ。少年野球でセンターかライトを守るケンゴ。ちょうど、外野フライが飛ぶ。「あーあ、ケンゴの所に飛んじまった」チームメイトが嘆く通り、バンザイをして後ろに倒れるケンゴ。ボールは、ケンゴの遙か後ろに転がって行く。
若き日のイヴリンがケンゴを連れ、布教のため訪問する。「再生者教会から来ました」話しを聞く、白人と黒人の主婦。ケンゴがドアを叩き、出て来た白人の男は、「異教徒だな!!地獄へ堕ちろ!!」と吐き捨てる。ケンゴを庇い車に戻るイヴリンにグレンが優しく近寄る。車の後部座席に座ったケンゴ「ねえ?僕のお父さんはどこにいるの?」「私たちが行けない場所にいて、私たちを見守ってくれているの。」「子どもがどこから来るかぐらい僕だって知っているよ」「止めて!!ケンゴ」凍りついたようなイヴリンとグレン。
成長したケンゴ。「僕のお父さんは誰なの?」何度も執拗に問い詰めるケンゴに、イヴリンは重い口を開く。「私は高校生の時に初めて“交わった”まぐわうってわかるわね」「勿論だよ」「その結果妊娠して堕胎をしたわ。若い女の子の身体にとって、堕胎ということはとっても危険を伴うわ。でも、私は二度目の恋でも妊娠してしまった。その時、相談に乗ってくれたお医者さんがいたわ。彼は、避妊を知らないのか?といってコンドームの正しい使い方を教えてくれたわ。彼とは、とっても年齢が離れていたけど、話をすることが楽しかったわ。そして、何故か私たちは交わった。とても厳格な避妊をしたけど、私は妊娠したの。その時、私は、あなたを神の子だと思って、産むことを決意して、彼のもとを去ったわ。」「ボクが産まれたことを彼は知っているの?」「知らないわ。」「だからあなたは、神の意志で産まれた子なの」「でも、私は絶望して、金門橋から飛び降り自殺をしようとした。その時、グレンさんは、声を掛け、教会に連れていってくれたの。そしてわたしは救われた。」「その人はどういう人だった?」「左耳がちぎれていてね。みんな、戦争にいってそうなったと言っていた。でも本当は、子どもの時に、そうなったの」
しまった。原作村上春樹だった。村上龍かと思っていた。SPOに勤める友人にロビーで会って、「今日は?」と聞かれ「村上龍原作の…」とドヤ顔で答えたのだ(苦笑)。「ああ、神…ですね」と恥をかかせないように言ってくれた、何ていい奴だ。ナターシャ・キンスキーの娘でソニア・キンスキーが若い頃のナターシャを思わせたり、映画自体は悪くはなかったが、「半次郎」か「ちょんまけプリン」見れば良かった。
夜は会食で打合せ。
ご機嫌で帰宅。家に入ると真っ暗だ。うーむ。東京電力、電力供給ストップか、忘れていた。取り敢えず、暗い中ででも、風呂に入ろうかと思ったが、今は、ガス湯沸かし器も、電気制御だったのか・・・。PCも携帯の充電も・・・。とりあえず寝る。どうなるオレ。
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