2010年5月9日日曜日

眠い。

   わーい。のんびりと言うか弛緩しきったGWの最終日は、朝から映画デート〜ランチ、実籾の歌姫の新しいアルバムのアートワーク打合せ、辞め同期の美女子と渋谷duoでライブと、盛り沢山だ。しかし春眠暁を覚えず、あまりに眠い。

   京橋フィルムセンターで、映画の中の日本文学Part3。
   64年勅使河原プロダクション勅使河原宏監督『砂の女(93)』

   一番好きな日本映画としているが、眠い。主人公が砂に埋まって行くように、睡魔に引きずり込まれる。A嬢、気に入ったようでよかった。善男善女で一杯の劇場。

   銀座ナイルレストラン。1949年創業。20年振りにムルギーランチ。可愛い娘と食べる食事は何でも旨い。伊東屋で、江戸手拭い展やら、各フロアを覗き、新宿へ。
   新宿で、実籾の歌姫小笠原愛の新しいミニアルバムのアートワークの打合せを、プロデューサーのT氏、デザイナーN氏と小笠原。

   渋谷のduo music exchangeで、兼﨑ドンペイ還暦ライブ。

2010年5月8日土曜日

加齢臭のする名画座

   シネマウェーラ渋谷で、映画作家・鈴木英夫の全て。

   58年東宝鈴木英夫監督『花の慕情(91)』
   生け花教室、和装の堂本梢(司葉子)が、生徒たちの間を回っている。「先生!お願いします」と声が掛かる。生徒の花を見て一本抜き「なるべく簡単になさった方が、花が生きるようになりますわ」と答える梢。
   教室が終わり、1階に降りて来る梢。ここは、花福の店舗だ。電話で、青山斎場への花の注文を受けていた主人の矢波福造(千秋実)が、梢に声を掛ける「これが、教室の設計図です。これが建てば、100人を超える弟子を受け入れても問題ありませんよ。これから新葉流を、どんどん大きくしていきましょう。お帰りですか?お送りしますよ」
   梢を車で送る矢波。「私、100人もの方にお教えできるかしら」「そんな弱気じゃ、?流や?流と並ぶことは出来ませんよ。100人どころか500人に教えられる教室にしたいんですよ」
   車を降りた梢に、弟の浩太郎(松沢洋一)が買ったばかりの登山靴を見せる。「ねえ、津田くんと一緒に山に行っていいでしょ」「危ないわよ。梨枝さんに相談したの?」「お母さんは反対するよ」居間にいる池上梨枝(杉村春子)は、話を聞いて「新聞に、大学生が3人、遭難して亡くなったって出てたでしょう。危ないわよ。絶対私は認めません。あなたは、新葉流の家元を継ぐ人なのよ」「姉さんがいるじゃないか?」「駄目です。家元は男性がなるものです」浩太郎の母の梨枝は、料亭?置屋を営んでいる。江戸っ子らしい、はっきりした物言いだが、表裏のない性格だ。

津田慎一(宝田明)弟淳二(西条廉彦)妹藍子(三井美奈)村木さわ(浦辺粂子)都築朝子(草笛光子)夫敬吾(菅原通済)小杉鴻作(笈川武夫)母松代(長岡輝子)慎一の大学の同期で静岡で開業する竹越誠一郎(三島耕)小田切母堂(三好栄子)令嬢(須賀京子)大塚しの(音羽久米子)夫人(立花暎子)旅館の女中(三田照子)妻克子(加藤治子)泉田青月(平田昭彦)菱川華翁(中村伸郎)鉱泉宿の亭主(佐田豊)

   52年新東宝鈴木英夫監督『殺人容疑者(92)』
   国電(省電?)の駅(有楽町か新橋あたりか)に、電車が着き、沢山の人がホームに降りてくる。

石島房太郎、大町文夫、三田国夫、恩田清二郎、丹波正三郎、土屋嘉男、纓片龍雄、小林昭二、高野二郎、田中一彦、沢晃二、橋爪輝雄、中原成男、今村源平、高本勝彦、池田秀男、谷三吉、霞涼二、高橋理、ジプシー・ローズ、野村昭子、水内立子、鈴木キワ子、中村洋子
兼田(纓片達雄)中沢刑事(石島房太郎)豊田刑事(土屋嘉男)ストリッパーのクール渡邊

2010年5月5日水曜日

GW最後の日といってもな。

    渋谷シアターNで、ジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督『ジョニー・マッド・ドッグ(90)』
    ある家に、ジョニーに率いられた少年兵たちが、入ってくる。家人を外に出し、「政府軍だろう」と詰問し、金を出せと命じる。寝室では、少年兵のプッシーキャットが、ウェディングドレスを見つけ、身に着ける。外では、ジョニーやNGアドバイスが、自動小銃を突きつける。

2010年5月3日月曜日

クロッシングを見た。

    渋谷ユーロスペースで、キム・テギュン監督『クロッシング(89)』
    北朝鮮咸鏡南道の炭坑、かって北朝鮮ナショナルサッカーチームのエースストライカーだったキム・ヨンス(チャ・インピョ)は、今日の終業のブザーが鳴り、自転車で帰宅する。サッカーをする子供たち。帰宅し、白い雑種の飼犬に「ペック!」と声を掛ける。妻のキム・ヨンハ(ソ・ヨンファ)が出迎える。そこに今までサッカーをしていた息子のキム・ジュニ(シン・ミョンチョル)が帰宅する。ヨンスとジュニはヨンハが夕食の支度が出来るまで、ペックを連れ、近くの空き地でサッカーをする。激しい天気雨が降り始める。帰宅を急ぐ近所の人々。ヨンスとジュニは雨に濡れるのも構わず、サッカーを続ける。
    雨が止み、ペックが犬小屋の前で身震いをしている。サッカーでキムジョンイルに貰ったテレビを大事そうに磨くヨンス。「そんなに磨いたら将軍様が擦り減ってしまうわよ(笑)」とヨンハ。咳をするヨンハ、本人は風邪だというがヨンスは気がかりだ。しかし、幸せな家族の団欒だ。ヨンハ「ミソンのお父さんが帰って来たんだって」ヨンス「じゃあ、一緒に行くか?」頷くジュニ。ヨンハ「どうして、サンチョルは中国に行っても捕まらないの?」ヨンス「儲けの半分を賄賂として党に納めているからさ」
   サンチョル(チョン・インギ)の家に行き、自転車を返す。サンチョルの一家は、父子を歓迎した。サンチョルの妻「ミソン!!ジュニにお菓子をあげなさい」ミソン(チュ・ダヨン)は、ジュニと同い年だ。自分の部屋に連れて行き、電気鉛筆削りを見せるミソン。「中国のおばさんがくれたの。この穴に鉛筆を入れると削れるのよ」珍しそうに鉛筆を削ってみるジュニ。お菓子を渡し「お父さん以外で、私の部屋に入った男の人は、ジュニが始めてよ」とミソン。一方、サンチョルは、ジャックダニエルを取り出し「洋酒だ」「洋酒?」「沢山飲んでも、二日酔いにならないんだ。まあ、一杯やろう」

2010年5月2日日曜日

黄金週間。

    金もないGW(苦笑)映画館1000本ノックと積み上がった本を読むしかない…。
    
    しかし今日は贅沢しようと、近所の秀の湯に行くが、体質的にカラスの行水。
    博華で餃子とビール。隣にいらしたのは、地元の老舗和菓子屋の美人母娘。江戸手拭いを沢山買い込んでいらしたので、酔った勢いで、声を掛けてしまうと、西荻大先輩の方々で恐縮。葉山でフランス料理屋をやっているお嬢さんが、メタル侍をご存知で、大層嬉しい。お二人が帰られた後も、老酒お代わりで絶好調に(苦笑)。

2010年5月1日土曜日

映画ファーストデイ(苦笑)

   丸の内スバル座で、石原興監督『獄[ひとや]に咲く花(85)』

-幕末-新しい世に突き進む激動の時代…黒船の襲来により、燃える世の中は幕府を終焉へと向かわせていた-
夜、提灯を掲げ、黒尽くめの行列が長州萩に向かっている。唐丸籠が間に担がれている…。
-安政元年(1854年)萩にある野山獄は、長州藩の士分のための牢獄であった。中の牢には鍵が掛けられておらず、行き来は自由だが、刑期は無く、ひとたびここに入れられると、生きて出られたものはほとんどいなかった-。
    夜が明けた。行列が野山獄の前に着いた。獄奉行の福川犀之助(目黒祐樹)が名乗ると、行列を率いた侍が「福田達之進でござる。これが願い書でござる」「お役目ご苦労様でござる」科人は、後に吉田松陰と呼ばれた男(前田倫良)だ。
   向かいの牢に松陰が入る物音に生気のない顔をした高須久(近衛はな)が目を覚ます。手拭いを袂からだし、牢を出、井戸へと向かう。水を汲み上げ、柄杓で、小さな萩の木に掛けてやる。すると寅次郎が「ほぅ、萩ですか…どんな荒れた地にも、花を付けるからいい」と声を掛ける。驚く久。
   食堂に行き、年配の獄囚、吉村善作(神山繁)に挨拶をする松陰。「私は昨晩より、この獄に参った吉田寅次郎と言う浪人者でございます。以後お見知り置き下さい」と頭を下げる。そこに久が現れる。「あんたも囚人だったのですか…」と寅次郎。「そうじゃ、あんたと同じ罪人じゃ」と吉村。他の獄囚たちは、生きる望みを失っており、挨拶する寅次郎につれない反応だ。酔って親族を斬った弘中勝之進(勝村政信)は皮肉屋だ。また、寅次郎と同じ明倫館での秀才だが隻眼のためか気難しく人と交じろうとしない富永弥平衛(池内万作)、素直さの欠片もない河野数馬(本田博太郎)の二人の牢には、近付くなと吉村はアドバイスする。
   夜、牢で慟哭する寅次郎の姿がある。自分と行動を共にした金子重之助は、百姓出身のため、隣の板倉獄の雑居房に入れられ、酷い境遇の中、体調を崩しているとを聞いたのだ。
   翌朝、久が井戸端に行くと、寅次郎が正坐をしている。久の下駄の鼻緒が切れる。自分の草履を差しだす寅次郎。寅次郎の牢に、草履を返しに行き「高須久と申します」と名乗る久。
   寅次郎は、牢番の源七(仁科貴)に、重輔を野山獄に移すよう頼み続ける。代りに自分が板倉獄に入るとまで頭を下げる姿に、困り果てる源七たち。そのやりとりを聞いてあきれ果てる獄囚たち。しかし、メリケンの黒船に乗り込もうと国禁を犯して捕らえられたと聞き、退屈していた獄囚たちは、寅次郎の話しを聞きに集まった。農民は国の宝だと説く寅次郎に、じゃあ我々は何なんだと尋ねる獄囚。「我々は磨けば輝く玉だ」と答える寅次郎。
   絶望感のみが漂う野山獄は、寅次郎が来て以来、急速に暖かみが感じられるようになった。
   食堂では、差し入れ屋の娘の?に話をする女たちがいる「寅次郎は、10歳で御前講義をした学者先生だ」と。?に尋ねられた久は、寅次郎の下に連れて行く。?を膝に乗せ優しく昔話をしようとすると、「学者先生臭い!!」と逃げ出す?。その姿に、柔らかい表情に変わる久。
   しかし、数日後?が「学者先生、姦淫って何?みんなが、高須未亡人は姦淫をしたと言うの・・・」「?ちゃんには、少し早いな」と、動揺した寅次郎が答えるのを聞き、凍りつく。久は寅次郎に問わず語りに、「私は姦淫をしたのではありません。?年前に夫を亡くした私は鬱々とした日々を送って参りました。しかし、?年後の住吉祭の日、外出した私は三味線を弾く大道芸人を見かけました。その芸人を自宅に呼び、歌や三味線で癒やされ、食事を共にしました。ある日、親類がやって来て、武家の後家としてあるまじき行為だとして、芸人は斬首され、私は罪人とされたのです。親族から見放された私は、このままここにいるしかないのです」。しかし、寅次郎は「過去は問題でありません。大切なのは、今あなたがどう生きているか、これから何をするかです」と説く。入獄以来、感情と女を殺して来た久は、初めて手鏡を手にし、髪をとかした。
   


   近衛はな、拾いものだった。ちょっと藤田朋子に似ていることで損をしているかもしれないが(笑)、木村多江のように、不幸が似合う女優として、もっと映画に出て欲しい。父目黒祐樹、祖父近衛十四郎、サラブレッドだけに難しいかもしれないが、もっと汚れ役やって欲しい。個人的に今年の主演女優賞候補。

   渋谷、シアター・イメージフォーラムで、野村誠一監督『ナチュラル・ウーマン2010(86)』

   大きなダブルベッド。コーヒーが入り、毛布の中から村田容子(亜矢乃)がカップに注ぎ飲む。身支度をした容子が、重そうなゼロハリバートンのカメラケースを下げ、ビニール傘でアパートを出る。日産フィガロに機材を積み込み、エンジンを掛ける。
   出版社落水社のスタジオ、沢山の書籍の物撮りをする容子と、編集者の森沢由梨子(英玲奈)。そこに編集長の辻(村田雄吉)が現れ、本を手に取る。「あっ、それまだ撮っていません」「ごめん」撮影が終わり、後片づけをする容子に辻が声を掛ける「村田さんは、人物撮らないんだっけ?」「ええ・・・」「悪いんだけど、僕の写真を撮ってくれないかな。パスポート用の・・・。更新なんだ」
   階段を降りながら、「あんなに、きれいに撮る必要なかったのに。もっとブサイクに撮ればよかったのに」と口を尖らせる由梨子。笑う容子。
   車を運転する容子。携帯が鳴り、路肩に止める。目の前は、向陽大学のキャンパスだ。学生時代を思い出す容子。
   向陽大学に入学した容子。サークルの勧誘の中で、クラスメイトの園田圭以子(木下あゆ美)が声を掛ける?「サークル決めた?」「漫研に行ったけど、何だかぴんと来なくて」「コスプレしている人がいるもんね。そうそう、新聞部に、表新聞部と裏新聞部があるんだって。表新聞部は、普通に新聞を出しているけど、裏新聞部は、何をやってもよくて、小説や漫画を発表する会報を出しているんだって」「ふーん」
   新聞部の部室にやってくる容子。「ここは表新聞部、裏はあっちだ」裏新聞部の部室は、奇妙な格好をした人間やもので一杯だ。来々軒のマユミが、岡持ちを持って部室にやって来て、部長の遠山(三浦力)に料理を出す。「注文していないけど」「沢山作りすぎたんで」と笑って帰るマユミ。その姿を見て切なそうな男子部員。「君も漫画やりたいの?」尋ねられて、男の視線の先にある諸凪花世(汐見ゆかり)。ショートカットで美しい花世の姿に、容子の視線は釘付けだ。
   スタイリッシュな映像とフォトジェニックがキャスティングされても、カッコいい映画にはならないんだな(涙)。映画監督を切望していた野村誠一の初監督作のクレジットは、撮影監督・監督、謙虚すぎる野村誠一。うーむ、映画って、編集マンが肝心なんだなと反面教師。
   観客の3分の2を占める男が、自分を含めメタボな中年オヤジばかりで、若い娘の二人組が周りを見渡して失笑していたのが悲しい。サンズの野田さんの秘蔵子が主演だからか…。その亜矢乃の体当たりのオールヌードと、ショートカットの汐見ゆかり格好よいのが、誠に勿体無い(苦笑)。

   渋谷TOEI①で、三池崇史監督『ゼブラーマンⅡ ゼブラシティの逆襲(87)』

   初日で、入れないかと心配したが、全くの杞憂でガラガラだ。チケット売り場の若者の行列は、TOEI②で上映中の「アリス・イン・ワンダーランド2D」だった。テレビ局の大バジェット映画の初日で映画ファーストデイなのに、2Dにさえ負けているのが悲しい(笑)。本日の大小の劇場の入場者数で最下位を争う(涙)
   とはいえ、流石に三池映画、最後の30分は大爆笑。宮藤官九郎脚本映画の中では一番面白いかもしれない。しかし、不動産業に次ぐ放送外収入を期待するTBSのGW映画、ビッグバジェットでお馬鹿映画(死語)を作ったとは宣伝出来なかったんだろうな。皮肉でなく、この下らなさのスケールは賞賛に値するのになあ。仲里依沙は素晴らしいしかし、あのライブシーンは、レディガガのパチモンだ。日本人として本当に恥ずかしい。上海万博テーマソング非難している場合じゃないだろTBS。

    渋谷シアターTSUTAYAで、カイル・ニューマン監督『ファンボーイズ(88)』

2010年4月30日金曜日

司葉子。煙草を吸う姿がかっこいい。まあ、美人は何をやってもいい(苦笑)

  角川シネマ新宿で、大雷蔵祭アンコール。

  63年大映京都池広一夫監督『影を斬る(82)』

  伊達藩六二万石の居城青葉城、藩主伊達陸奥守の下、国許だけで三万五千人にものぼる藩士がいる。太鼓が鳴らされ、もの凄い数の藩士たちが登城する。お目見え以上のものたちが大広間に集められ、藩主伊達忠宗(成田純一郎)のもと朝礼が行われる。みなで正宗公の歌を詠唱する。眠そうな藩士たちの中に、お天守奉行の井伊直人[いいなおんど](市川雷蔵)の姿がある。あくびを噛殺し、居眠りをする者さえいる。城代家老の伊達将監(稲葉義男)は、そんな藩士たちに「近頃の若い者はなっとらん」と腹を立てている。
   勘定方など終日忙しい部署もあるが、御長柄方などは、天下泰平が続き戦のない時代には、槍の保管をしているだけで、暇を持て余して、城内の噂話か、居眠りをしている。見回りに来た家老の姿に、御長柄奉行の小野伊織(松本錦四郎)たちは、慌てて座り直す。
   戦がなければ無用の長物の天守閣、お天守方も同じ閑職だ。直人の父、井伊勘解由[かげゆ]と友人であった伊達将監は、仙台一の軟派だと噂される直人のことを憂いている。今日は、天守閣の見回りをしていると天守方で聞き、喜んで視察におもむく。しかし、直人は大鼾で昼寝をしている。激怒する将監に、「天守閣は、来る戦の折には、藩主が鎮座なさる場所、お休みになる際には、憂いなくお眠りあそばすことが出来るか、調べていたところだ」と屁理屈をこねる。呆れる将監は「夜遊びばかりしているからだ。嫁を取ったらどうだ」と言う。「ご城代さまの姫を嫁に下さいませんか」と先手をうつ。「伊達小町とも、仙台小町とも呼ばれる娘をお主にやれるか」と言う将監。本音としては、将監の娘が仙台小町のわけがないとタカをくくっていたのだ。
   怒って将監が去ると、隠れていた忠宗が出て来た。いつも、二人で昼寝をしているのだ。天守閣から忠宗は、将軍の娘を嫁に取ったことで、自分の屋敷と嫁の屋敷を作ったことを自嘲する。将軍の娘と将監の娘、"しょうぐん"と"しょうげん"一字違いなだけで、同じようなもの、苦労するぞと忠告する。女扱いに自信のある直人は、本気にしない。
   下城の太鼓が鳴る。帰ろうとする直人に伊織が一杯飲んで帰ろうと言う。満員の一膳飯屋で酒を飲み、城代家老の娘の話をする二人。店の酌婦お吉(井上明子)は、直人に惚れている。直人が帰宅する。井伊家の屋敷は、構えこそ大きいが、ボロボロでお化け屋敷のようだ。   
   何もない屋敷の中には、たった一人残った用人の笠原左内(藤原釜足)が、道場に立会いの申し込みが来ていると言う。井伊家は、代々藩の剣術指南役を務めているのだ。浪人者、川上平馬(大辻伺郎)と立会いながら、小声で「左内からいくら貰った?」「一両でござる」「一両なら小手か」木刀で小手をとる直人。門人向けに、道場主の直人の力を見せるために、左内は、八百長を仕組んでいるのだ。
    屋敷に戻り、左内に「浪人者に一両やるのであれば、今晩私に貸してくれないか」と頼むが「先代の時には30人はいた家人が私一人になりましたが、58両2分お貸ししているので、辞められません」と断られる。そこに忠宗がお忍びでやってくる。着替えて、櫓下の岡場所に繰り出すのだ。「殿に出していただけば、いいじゃないですか」という左内に「殿は、一両たりとも、家老に頼まないと自由にならないのだ」と言う。困った直人は「家老の娘との縁談があるのだ」と打ち明け、お祝いだと二両を貰う。
   櫓下で飲みながら、忠宗は「こんな楽しい夜は、近々、御前が国帰りするので出来ないのだ」と嘆く。この飲み屋のお広(真城千都世)は、飲み代の全てを貢いでくれているのだ。



  「本日の午の刻の太鼓は取り止めじゃ」かくて、この青葉城では正午の太鼓は廃止されたとのことである。

定(瑳峨三智子→美智子)君竜(瑳峨三智子)和子(坪内ミキ子)戸田帯刀(小林勝彦)
お文(高森チズ子)〆香(毛利郁子)村上軍十郎(千葉敏郎)伊逢安房(荒木忍)多田頼母(山路義人)

   さすが、小國英雄の脚本。渋いタイトルながら実はコメディ。

   シネマヴェーラ渋谷で、映画作家・鈴木英夫のすべて。

   62年東宝鈴木英夫監督『その場所に女ありて(83)』
   
   数寄屋橋交差点だろうか、通勤する勤め人の中に、西銀広告のBG矢田律子(司葉子)の姿がある。第2営業部のセールスウーマンだ。

   55年東宝算正典・鈴木英夫・成瀬巳喜男監督『くちづけ(84)』